ふるさと納税は、応援したい自治体に寄付をすることで、税金の控除が受けられるお得な制度です。しかし、寄付した後の確定申告が面倒そうで、なかなか手が出せないという人も少なくありません。そんな人たちのために用意されているのが、**「ワンストップ特例制度」**です。
この記事では、ふるさと納税の利用を考えている初心者の方から、ワンストップ特例制度についてもっと詳しく知りたい方まで、ワンストップ特例制度のすべてを徹底的に解説していきます。4000文字というボリュームで、制度の基本から注意点、具体的な申請方法まで、網羅的にご紹介します。

徹底解説!ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」を使いこなそう
ふるさと納税は、応援したい自治体に寄付をすることで、税金の控除が受けられるお得な制度です。しかし、寄付した後の確定申告が面倒そうで、なかなか手が出せないという人も少なくありません。そんな人たちのために用意されているのが、**「ワンストップ特例制度」**です。
1. ワンストップ特例制度とは?
ワンストップ特例制度は、簡単に言うと**「確定申告をしなくても、ふるさと納税の寄付金控除を受けられる特別な仕組み」**です。
通常、ふるさと納税で寄付金控除を受けるためには、翌年に自分で確定申告を行う必要があります。確定申告には、源泉徴収票や寄付証明書など、さまざまな書類を準備して、税務署に提出するという手間がかかります。
しかし、ワンストップ特例制度を利用すれば、確定申告は不要です。寄付した自治体に申請書類を提出するだけで、住民税から寄付金控除を受けることができます。
この制度は、特に会社員などの給与所得者で、普段は確定申告をする必要がない人にとって、ふるさと納税をぐっと身近なものにしてくれました。
2. ワンストップ特例制度を利用するための条件
ワンストップ特例制度は、誰でも無条件に利用できるわけではありません。以下の2つの条件を両方満たす必要があります。
条件1:1年間の寄付先が5自治体以内であること
これは、**「寄付先の自治体の数」**が基準となります。同じ自治体に複数回寄付をした場合でも、1つの自治体としてカウントされます。
例:
- A市に2回、B市に1回、C市に1回、D市に1回、E市に1回寄付 → 5自治体なのでOK
- A市に1回、B市に1回、C市に1回、D市に1回、E市に1回、F市に1回寄付 → 6自治体なのでNG
寄付先の自治体が6つ以上ある場合は、自動的にワンストップ特例制度の対象外となり、確定申告をする必要があります。
条件2:確定申告をする必要がない人であること
もともと確定申告をしなければならない人は、ワンストップ特例制度を利用できません。
確定申告をする必要がある人の例:
- 自営業者やフリーランスの方
- 年間の給与収入が2,000万円を超える方
- 2か所以上から給与をもらっている方
- 医療費控除や住宅ローン控除(初年度)など、ふるさと納税以外で確定申告をする予定がある方
これらの条件に当てはまる方は、ワンストップ特例制度を利用せずに、確定申告で寄付金控除を申請しましょう。
3. ワンストップ特例制度の申請方法
ワンストップ特例制度の申請は、とても簡単です。以下の3ステップで完了します。
ステップ1:寄付をする際に「ワンストップ特例制度を利用する」にチェックを入れる
ふるさと納税サイトで寄付を申し込む際に、**「ワンストップ特例制度の申請を希望する」**というチェックボックスがあります。ここに必ずチェックを入れましょう。チェックを忘れてしまうと、申請書が送られてこない場合があります。
ステップ2:寄付先の自治体から送られてくる書類を確認する
寄付が完了すると、後日、寄付先の自治体から以下の書類が送られてきます。
- 寄附金税額控除に係る申告特例申請書(ワンストップ特例申請書)
- 申請方法の案内
この申請書は、自治体によって郵送時期が異なりますが、一般的には寄付後1~2週間程度で届くことが多いです。
ステップ3:必要書類を揃えて、寄付先の自治体に郵送する
申請書に必要事項を記入し、以下の本人確認書類のいずれかを添付して、寄付先の自治体に郵送します。
(1)マイナンバーカードを持っている場合
- マイナンバーカードの表裏両面のコピー
(2)マイナンバーカードを持っていない場合
- マイナンバー確認書類
- 通知カードのコピー
- 住民票の写し(マイナンバー記載あり)
- 本人確認書類
- 運転免許証のコピー
- パスポートのコピー
- 健康保険証のコピー など
本人確認書類は、顔写真付きのものなら1点、顔写真なしのものなら2点必要です。詳細は、自治体から送られてくる案内を確認しましょう。
【重要】
- 申請書の提出期限は、寄付をした年の翌年1月10日までです(必着)。
- 寄付先の自治体ごとに申請書類を提出する必要があります。複数の自治体に寄付した場合は、それぞれの自治体に郵送してください。
4. ワンストップ特例制度のメリット・デメリット
ワンストップ特例制度には、メリットもあればデメリットもあります。制度を最大限に活用するために、両方を理解しておきましょう。
メリット
- 確定申告が不要で手間が省ける:これが最大のメリットです。面倒な確定申告の手続きから解放されます。
- 制度がわかりやすい:確定申告に比べて手続きがシンプルで、ふるさと納税初心者でも安心して利用できます。
デメリット
- 寄付先が5自治体以下に限定される:たくさんの自治体に寄付をしたい人には不向きです。
- 寄付金控除は住民税からのみ:確定申告では所得税と住民税の両方から控除されますが、ワンストップ特例制度では全額が住民税から控除されます。ただし、最終的な控除額は同じなので、実質的な差はありません。
- 他の控除(医療費控除など)と併用できない:ワンストップ特例制度は確定申告をしないことが前提の制度です。ふるさと納税以外の控除を受けるために確定申告をする場合は、ワンストップ特例制度の申請は無効となり、確定申告で改めてふるさと納税の控除を申請し直す必要があります。

5. こんなときはどうする?ワンストップ特例制度のQ&A
ワンストップ特例制度に関して、よくある疑問にお答えします。
Q1:ワンストップ特例申請書を出し忘れてしまったら? A: 申請書の提出期限(翌年1月10日)を過ぎてしまった場合、ワンストップ特例制度は利用できません。この場合は、ご自身で確定申告をして、寄付金控除を申請する必要があります。確定申告の期限は、通常2月中旬から3月中旬までです。
Q2:ワンストップ特例申請をした後に、確定申告が必要になってしまったら? A: 医療費控除や住宅ローン控除(初年度)など、途中で確定申告をする必要が生じた場合、すでに提出したワンストップ特例の申請はすべて無効になります。この場合は、確定申告の際に、ふるさと納税の寄付金控除も改めて申請し直す必要があります。 確定申告書には、ふるさと納税の寄付金額を記載し、「寄附金受領証明書」を添付しましょう。寄附金受領証明書は、ワンストップ特例申請書とは別に、寄付先の自治体から送られてくる書類です。
Q3:複数の自治体に寄付をしました。申請書類はまとめて送れますか? A: いいえ、寄付先の自治体ごとに申請書類を送る必要があります。たとえば、A市とB市に寄付をした場合、A市にA市の申請書を、B市にB市の申請書を郵送してください。
Q4:申請書にマイナンバーの記載は必要ですか? A: はい、必ず記載が必要です。マイナンバーカードを持っていない場合は、通知カードやマイナンバー記載の住民票の写しなどを本人確認書類として添付しましょう。
6. まとめ:ふるさと納税はワンストップ特例制度で賢く、手軽に
ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」は、確定申告が不要になる、とても便利な仕組みです。
- 寄付先が5自治体以内
- もともと確定申告をする必要がない
この2つの条件を満たせば、誰でも簡単に利用できます。
申請書の記入と郵送というわずかな手間で、税金控除という大きなメリットを受けられるのが、この制度の魅力です。
ふるさと納税は、自分の好きな自治体を応援できるだけでなく、おいしいお礼の品をもらえて、さらに税金も控除されるという、まさに一石三鳥の制度です。
まだふるさと納税を体験したことがない方も、この記事を参考に、ぜひワンストップ特例制度を利用して、気軽にふるさと納税を始めてみませんか?
この記事が、あなたのふるさと納税ライフの一助となれば幸いです。