近年、インターネットの普及とともに、証券取引は劇的に変化しました。かつては対面での取引が主流でしたが、現在では自宅のパソコンやスマートフォンの画面から、手軽に株や投資信託、FXなどの取引ができるようになりました。この変革を牽引しているのが「ネット証券」です。手数料の安さ、豊富な情報ツール、多様な商品ラインナップなどが特徴で、初心者からベテランまで幅広い投資家から支持を集めています。
本稿では、日本国内で特に人気が高く、多くの投資家が利用している主要ネット証券5社――SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券――を多角的に比較分析します。各社の強み、弱み、サービス内容、手数料体系、取扱商品、ツールなどを詳細に掘り下げ、あなたの投資スタイルに最適な証券会社を見つけるための手助けとなることを目指します。

比較対象のネット証券5社
- SBI証券: 業界No.1の口座開設数を誇る最大手。豊富な商品ラインナップとツールの充実度が魅力。
- 楽天証券: 楽天グループの強力なエコシステムと連携。楽天ポイントを活用した投資が可能。
- マネックス証券: 米国株取引に強みを持つ。充実した投資情報と分析ツールが特徴。
- auカブコム証券: 三菱UFJフィナンシャル・グループの一員。au経済圏との連携や、ユニークなサービスが魅力。
- 松井証券: 老舗の証券会社でありながら、ネット取引に早期から注力。独自のサービスやツールに定評。
比較項目
以下の項目に基づいて、各社を詳細に比較していきます。
- 手数料体系: 国内株式、投資信託、米国株など主要商品の手数料。
- 取扱商品: 国内株式、外国株式(米国株、中国株など)、投資信託、債券、FX、CFD、先物・オプション、NISA、iDeCoなど。
- 取引ツール・情報: PCツール、スマホアプリ、投資情報コンテンツ、分析ツールなど。
- ポイントプログラム: 各社独自のポイントプログラムと活用方法。
- NISA・iDeCo: 各社のNISA・iDeCo口座の利便性と商品ラインナップ。
- 顧客サポート: 問い合わせ方法、対応時間、サポートの質など。
- その他ユニークなサービス: 各社独自の強みや特徴的なサービス。
- 口座開設数・信頼性: 各社の規模や信頼性。
- メリット・デメリット: 各社の総合的な評価。
- どのような投資家におすすめか: 各社のターゲット層。
1. SBI証券

SBI証券は、2024年6月末時点で1,300万口座を超える口座開設数を誇る、名実ともに日本最大手のネット証券です。その圧倒的な規模を背景に、あらゆる面でトップクラスのサービスを提供しています。
手数料体系
- 国内株式:
- スタンダードプラン(手数料コース): 取引ごとに手数料が発生するプラン。
- 10万円まで: 99円
- 20万円まで: 198円
- 50万円まで: 385円
- 100万円まで: 660円
- 以降、金額に応じて上昇。
- アクティブプラン(1日の約定代金合計): 1日の取引金額に応じて手数料が決まるプラン。
- 100万円まで: 無料
- 200万円まで: 1,238円
- 以降、金額に応じて上昇。
- ゼロ革命(国内株式取引手数料ゼロ): 2023年9月30日より、国内株式の現物取引および信用取引手数料が無料となりました(オンライン取引、日本株アプリ「HYPER SBI 2」など対象)。これにより、手数料を気にすることなく国内株式取引に集中できるようになりました。
- スタンダードプラン(手数料コース): 取引ごとに手数料が発生するプラン。
- 投資信託: 買付手数料無料のノーロード投信が多数。保有残高に応じてポイント付与。
- 米国株式:
- 約定代金に対する手数料: 0.495%(税込)、最低0ドル、上限22ドル。
- SBI証券FXα(為替手数料): 米ドル/円の場合、1米ドルあたり25銭(原則固定)。住信SBIネット銀行の外貨預金経由での両替なら、1米ドルあたり6銭と格安。
- その他の商品: FX、CFD、先物・オプションなど、それぞれ競争力のある手数料設定。
取扱商品
SBI証券の最大の特徴は、その圧倒的な取扱商品数の多さです。
- 国内株式: 現物取引、信用取引、IPO(新規公開株)、PO(公募増資・売出)。IPOの取扱銘柄数は業界トップクラス。
- 外国株式: 米国株、中国株、韓国株、ベトナム株、インドネシア株、シンガポール株、タイ株、マレーシア株など、9ヶ国の株式に対応。特に米国株は、約6,000銘柄以上と豊富なラインナップ。
- 投資信託: 2,600本以上(ノーロード投信多数)。幅広いカテゴリを網羅。
- 債券: 個人向け国債、外国債券、仕組債。
- FX: SBI FXトレードと連携。
- CFD: 指数CFD、商品CFDなど。
- 先物・オプション: 日経225先物、TOPIX先物、オプション取引など。
- 金・プラチナ・銀: 現物、積立。
- ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディング: 子会社を通じた提供。
- NISA・iDeCo: どちらも幅広い商品ラインナップに対応。
取引ツール・情報
- PCツール:
- HYPER SBI 2: 高機能トレーディングツール。リアルタイム株価、板情報、チャート分析、豊富なテクニカル指標、ニュース、注文機能など、プロレベルの機能を提供。
- SBI証券株アプリ: 直感的な操作性で、初心者から上級者まで利用しやすい。
- テーマ投資: AIが企業のテーマ性から銘柄を提案。
- スマホアプリ:
- SBI証券株アプリ: 国内株取引に特化した高機能アプリ。
- SBI証券米国株アプリ: 米国株取引に特化。
- SBI証券FXアプリ: FX取引専用。
- SBI証券投資信託アプリ: 投資信託の管理・購入に特化。
- 投資情報:
- SBI証券V: 投資情報メディア。著名アナリストのレポート、企業分析、市場トレンドなど。
- ニュース: リアルタイムニュース、市況情報、企業ニュースなど。
- スクリーニング: 細かな条件設定で銘柄を検索。
ポイントプログラム
- Tポイント、Pontaポイント、dポイント、Vポイント: 投資信託の保有残高に応じてポイントが付与される。投資信託の買付にもポイントが利用可能。
- SBI証券Tポイントサービス: Tポイントを投資信託や国内株式の買付に充当できる。
- SBI証券Vポイントサービス: クレジットカード決済で投資信託を積立購入すると、Vポイントが貯まる(SBI証券提携クレジットカード)。
NISA・iDeCo
- NISA:
- つみたてNISA: 対象銘柄数が豊富。毎日、毎週、毎月など積立頻度も選択可能。
- 一般NISA: 国内株式、外国株式、投資信託など幅広い商品に対応。
- 新NISA: 成長投資枠、つみたて投資枠ともに対応。特に成長投資枠での取扱商品数の多さが魅力。
- iDeCo: 運用管理手数料が無料。豊富な商品ラインナップ。
顧客サポート
電話、メール、チャットによるサポート。Q&Aも充実。
その他ユニークなサービス
- IPO・PO取扱数: 業界トップクラスのIPO取扱数で、新規上場企業の株式取得のチャンスが多い。
- ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディング: 新しい投資機会を提供。
- SBIラップ: AIを活用した資産運用サービス。
- 住信SBIネット銀行との連携: 外貨預金やハイブリッド預金など、利便性の高い連携サービス。
口座開設数・信頼性
- 口座開設数: 業界No.1(1,300万口座超)。
- 信頼性: 大手金融グループの一員であり、強固な経営基盤を持つ。
メリット・デメリット
- メリット:
- 業界トップクラスの取扱商品数と手数料の安さ(国内株式手数料無料化)。
- 高機能な取引ツールと豊富な投資情報。
- NISA・iDeCoの商品ラインナップが充実。
- 大手としての安心感と信頼性。
- ポイントプログラムの充実。
- デメリット:
- サービスが多岐にわたるため、初心者にはやや複雑に感じる場合がある。
- 一部の独自サービスは、他社と比べてUI/UXが洗練されていないと感じる場合も。
どのような投資家におすすめか
- あらゆる投資家: 特に、国内株式を頻繁に取引する投資家、多様な金融商品をまとめて管理したい投資家、米国株投資に興味がある投資家。
- NISA・iDeCoを最大限活用したい投資家。
- 情報収集を重視する投資家。
2. 楽天証券

楽天証券は、楽天グループが展開するネット証券で、楽天経済圏との強力な連携が最大の魅力です。楽天ポイントを活用した投資が可能であり、日常生活で貯めたポイントを有効活用したい投資家から絶大な支持を得ています。
手数料体系
- 国内株式:
- 超割コース(取引ごとに手数料):
- 5万円まで: 55円
- 10万円まで: 99円
- 20万円まで: 198円
- 50万円まで: 385円
- 以降、金額に応じて上昇。
- いちにち定額コース(1日の約定代金合計):
- 50万円まで: 無料
- 100万円まで: 990円
- 200万円まで: 1,980円
- 以降、金額に応じて上昇。
- ゼロコース(国内株式手数料無料化): 2023年10月1日より、国内株式の現物取引および信用取引手数料が無料となりました(オンライン取引、スマートフォンアプリ「iSPEED」など対象)。SBI証券と同様に、手数料を気にせず国内株式取引が可能に。
- 超割コース(取引ごとに手数料):
- 投資信託: 買付手数料無料のノーロード投信が多数。保有残高に応じてポイント付与。
- 米国株式:
- 約定代金に対する手数料: 0.495%(税込)、最低0ドル、上限22ドル。
- 為替手数料: 1米ドルあたり25銭。楽天銀行の外貨預金経由での両替なら、1米ドルあたり3銭と格安。
- その他の商品: FX、CFD、先物・オプションなど、それぞれ競争力のある手数料設定。
取扱商品
楽天証券も幅広い商品ラインナップを誇ります。
- 国内株式: 現物取引、信用取引、IPO、PO。IPO取扱銘柄数はSBI証券に次ぐ。
- 外国株式: 米国株(約4,000銘柄以上)、中国株、アセアン株(シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア)。
- 投資信託: 2,600本以上(ノーロード投信多数)。
- 債券: 個人向け国債、外国債券、仕組債。
- FX: 楽天FX。
- CFD: 指数CFD、商品CFDなど。
- 先物・オプション: 日経225先物、TOPIX先物、オプション取引など。
- 金・プラチナ: 積立。
- NISA・iDeCo: 幅広い商品に対応。
取引ツール・情報
- PCツール:
- MARKETSPEED II: プロフェッショナル仕様の次世代トレーディングツール。リアルタイム株価、板情報、多機能チャート、注文機能、ニュース、豊富なテクニカル指標など。
- MARKETSPEED: 安定感のある定番ツール。
- スマホアプリ:
- iSPEED: 国内株、先物・オプション、FX、米国株など、主要な取引に対応した高機能アプリ。直感的な操作性で人気。
- iSPEED for iPad: iPadに最適化された取引アプリ。
- 楽天ウォレット: 暗号資産取引アプリ。
- 投資情報:
- トウシル: 楽天証券の投資情報メディア。初心者向けコンテンツから専門性の高いレポートまで幅広い情報。
- 日経テレコン(楽天証券版): 無料で利用可能。新聞記事や企業情報など。
- ニュース: リアルタイムニュース、市況情報、企業ニュースなど。
ポイントプログラム
楽天証券の最大の特徴とも言えるのが、楽天ポイントプログラムとの連携です。
- 楽天ポイント: 投資信託の積立、国内株式の買付、FX取引など、様々な取引で楽天ポイントが貯まる・使える。
- 楽天カード決済: 楽天カードで投資信託を積立購入すると、購入金額の1%(上限あり)が楽天ポイントとして付与される。これは他社にはない大きなメリット。
- 楽天銀行との連携: マネーブリッジを設定すると、楽天銀行の普通預金金利が優遇される。
NISA・iDeCo
- NISA:
- つみたてNISA: 対象銘柄数が豊富。楽天カード積立でポイントが貯まる。
- 一般NISA: 国内株式、外国株式、投資信託など幅広い商品に対応。
- 新NISA: 成長投資枠、つみたて投資枠ともに対応。楽天カード積立によるポイント還元が魅力。
- iDeCo: 運用管理手数料が無料。楽天証券独自のプランも用意。
顧客サポート
電話、メール、チャットによるサポート。Q&Aも充実。セミナーも頻繁に開催。
その他ユニークなサービス
- 楽天経済圏との連携: 楽天ポイントを貯めて、投資に活用できる。楽天市場や楽天トラベルなど、楽天グループサービスを頻繁に利用する人には特に有利。
- 日経テレコン(楽天証券版): 無料で利用できるのは大きなメリット。
- ポイント投資: 貯まった楽天ポイントで投資信託や国内株式が買える。
口座開設数・信頼性
- 口座開設数: 業界2位(1,000万口座超)。
- 信頼性: 楽天グループの一員であり、強固な経営基盤を持つ。
メリット・デメリット
- メリット:
- 楽天ポイントを活用した投資が可能。楽天経済圏を利用している人には特に有利。
- 国内株式の手数料無料化。
- 高機能な取引ツール「MARKETSPEED II」「iSPEED」。
- 日経テレコン(楽天証券版)が無料で利用可能。
- NISA・iDeCoでのポイント還元。
- デメリット:
- 米国株の取扱銘柄数はSBI証券にやや劣る。
- 楽天経済圏をあまり利用しない人にとっては、ポイントメリットが少ない。
どのような投資家におすすめか
- 楽天ポイントを貯めている・使っている投資家: 楽天経済圏をフル活用したい人。
- 国内株式を頻繁に取引する投資家。
- 初心者からベテランまで、幅広い層の投資家。
- NISA・iDeCoでの積立投資を検討している投資家。
3. マネックス証券

マネックス証券は、投資情報と分析ツールが充実していることで知られるネット証券です。特に米国株取引に強みを持つほか、ユニークなサービスを提供しています。
手数料体系
- 国内株式:
- 取引毎手数料コース:
- 5万円まで: 55円
- 10万円まで: 110円
- 20万円まで: 220円
- 50万円まで: 440円
- 以降、金額に応じて上昇。
- 一日定額手数料コース:
- 50万円まで: 550円
- 100万円まで: 1,100円
- 以降、金額に応じて上昇。
- ゼロコース(国内株式手数料無料化): 2024年1月より、国内株式の現物取引および信用取引手数料が無料となりました(オンライン取引、マネックス証券アプリなど対象)。
- 取引毎手数料コース:
- 投資信託: 買付手数料無料のノーロード投信が多数。保有残高に応じてマネックスポイント付与。
- 米国株式:
- 約定代金に対する手数料: 0.495%(税込)、最低0ドル、上限22ドル。
- 為替手数料: 1米ドルあたり25銭。マネックス証券内で為替取引を行う場合。住信SBIネット銀行(提携)経由での両替なら、1米ドルあたり6銭と格安。
- その他の商品: FX、CFD、先物・オプションなど、それぞれ競争力のある手数料設定。
取扱商品
- 国内株式: 現物取引、信用取引、IPO、PO。
- 外国株式: 米国株(約4,000銘柄以上)、中国株。特に米国株は、銘柄数だけでなく、リアルタイム株価や分析ツールの充実度が魅力。
- 投資信託: 1,600本以上(ノーロード投信多数)。
- 債券: 個人向け国債、外国債券。
- FX: マネックスFX。
- CFD: 指数CFD、商品CFDなど。
- 先物・オプション: 日経225先物、TOPIX先物、オプション取引など。
- 金・プラチナ: 積立。
- NISA・iDeCo: 幅広い商品に対応。
取引ツール・情報
- PCツール:
- マネックストレーダー: 高機能トレーディングツール。リアルタイム株価、板情報、多機能チャート、豊富なテクニカル指標、ニュース、注文機能など。米国株対応版も。
- 銘柄スカウター: 過去10年分の企業データや業績予想をグラフで表示。競合比較機能も充実。個別銘柄のファンダメンタルズ分析に非常に役立つ。
- MONEX VISION: 投資情報コンテンツ。専門家による市場分析、企業レポート、投資戦略など。
- スマホアプリ:
- マネックス証券アプリ: 国内株、米国株、投信、FXなど幅広い取引に対応。
- Monex Trader FX: FX専用アプリ。
- Monex Trader CFD: CFD専用アプリ。
- 投資情報:
- 銘柄スカウター: 圧倒的な分析機能。
- MONEX VISION: 質の高い投資情報。
- チーフ・アナリストレポート: 著名アナリストによる詳細な分析レポート。
ポイントプログラム
- マネックスポイント: 投資信託の保有残高、NISAでの取引、各種キャンペーンなどで貯まる。貯まったポイントは、ANAマイル、JALマイル、Tポイント、dポイント、Pontaポイント、Amazonギフト券などに交換可能。
- マネックスカード: クレジットカード決済で投資信託を積立購入すると、購入金額の1.1%(上限あり)がマネックスポイントとして付与される。還元率は他社比較でも高水準。
NISA・iDeCo
- NISA:
- つみたてNISA: 対象銘柄数が豊富。マネックスカード積立でポイントが貯まる。
- 一般NISA: 国内株式、外国株式、投資信託など幅広い商品に対応。
- 新NISA: 成長投資枠、つみたて投資枠ともに対応。マネックスカード積立でのポイント還元が魅力。
- iDeCo: 運用管理手数料が無料。
顧客サポート
電話、メール、チャットによるサポート。セミナーやQ&Aも充実。
その他ユニークなサービス
- 米国株に強み: リアルタイム株価情報、銘柄スカウター米国株など、米国株投資に特化したツールが充実。
- 銘柄スカウター: 企業分析ツールとしては業界トップクラスの機能。
- ロボアドバイザー: マネックスアドバイザー。
- ワン株(単元未満株): 1株から気軽に投資できる。
口座開設数・信頼性
- 口座開設数: 約220万口座。
- 信頼性: 大手金融グループの傘下ではないが、独自の経営戦略で信頼を築いている。
メリット・デメリット
- メリット:
- 米国株取引に非常に強い。リアルタイム株価や分析ツールが充実。
- 国内株式手数料無料化。
- 「銘柄スカウター」など、質の高い投資情報・分析ツールが充実。
- NISA・iDeCoでのマネックスカード積立による高還元率。
- 単元未満株「ワン株」に対応。
- デメリット:
- 取扱商品数がSBI証券や楽天証券に比べてやや少ない。
- ポイントプログラムの交換先が多岐にわたるため、慣れるまで少し時間がかかる場合がある。
どのような投資家におすすめか
- 米国株投資をメインに考えている投資家。
- ファンダメンタルズ分析を重視する投資家。
- 質の高い投資情報を求める投資家。
- 単元未満株で少額から始めたい初心者投資家。
- NISA・iDeCoでのポイント還元を重視する投資家。
4. 三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)

三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)は、三菱UFJフィナンシャル・グループの一員であり、au経済圏との連携を強みとするネット証券です。独自のサービスやツールも魅力です。
手数料体系
- 国内株式:
- 約定ごとプラン:
- 10万円まで: 99円
- 20万円まで: 198円
- 50万円まで: 385円
- 100万円まで: 660円
- 以降、金額に応じて上昇。
- 1日定額手数料コース:
- 100万円まで: 1,100円
- 以降、金額に応じて上昇。
- zero手数料コース(国内株式手数料無料化): 2024年3月より、国内株式の現物取引および信用取引手数料が無料となりました(オンライン取引、kabu.com証券アプリなど対象)。
- 約定ごとプラン:
- 投資信託: 買付手数料無料のノーロード投信が多数。保有残高に応じてPontaポイント付与。
- 米国株式:
- 約定代金に対する手数料: 0.495%(税込)、最低0ドル、上限22ドル。
- 為替手数料: 1米ドルあたり25銭。auじぶん銀行との連携で1米ドルあたり3銭と格安。
- その他の商品: FX、CFD、先物・オプションなど、それぞれ競争力のある手数料設定。
取扱商品
- 国内株式: 現物取引、信用取引、IPO、PO。
- 外国株式: 米国株。
- 投資信託: 1,500本以上(ノーロード投信多数)。
- 債券: 個人向け国債、外国債券。
- FX: カブコムFX。
- CFD: 指数CFD、商品CFDなど。
- 先物・オプション: 日経225先物、TOPIX先物、オプション取引など。
- 金・プラチナ: 積立。
- NISA・iDeCo: 対応。
取引ツール・情報
- PCツール:
- kabuステーション: 高機能トレーディングツール。リアルタイム株価、板情報、チャート、ニュース、注文機能など。
- カブコム投資情報: 市場トレンド、アナリストレポート、企業情報など。
- スマホアプリ:
- auカブコム証券アプリ: 国内株、米国株、投信、FXなど幅広い取引に対応。
- kabuスマート株: 高機能な株取引アプリ。
- 投資情報:
- テーマ投資: AIを活用したテーマ投資サービス。
- アナリストレポート: 独自のアナリストレポート。
ポイントプログラム
- Pontaポイント: 投資信託の保有残高、au PAYカードでの投信積立、その他キャンペーンなどでPontaポイントが貯まる・使える。
- au PAYカード決済: au PAYカードで投資信託を積立購入すると、購入金額の1%(上限あり)がPontaポイントとして付与される。
- auじぶん銀行との連携: auじぶん銀行と連携することで、普通預金金利が優遇される。
NISA・iDeCo
- NISA:
- つみたてNISA: 対象銘柄数が豊富。au PAYカード積立でポイントが貯まる。
- 一般NISA: 国内株式、外国株式、投資信託など幅広い商品に対応。
- 新NISA: 成長投資枠、つみたて投資枠ともに対応。au PAYカード積立でのポイント還元が魅力。
- iDeCo: 運用管理手数料が無料。
顧客サポート
電話、メール、チャットによるサポート。Q&Aも充実。
その他ユニークなサービス
- au経済圏との連携: au PAYカードやauじぶん銀行など、auグループのサービスを頻繁に利用する人には特にメリットが大きい。
- 逆指値・トレーリングストップ: 豊富な注文方法に対応。
- プチ株(単元未満株): 1株から気軽に投資できる。
- 信用取引サービス: 独自の信用取引サービスが充実。
口座開設数・信頼性
- 口座開設数: 約150万口座。
- 信頼性: 三菱UFJフィナンシャル・グループの一員であり、強固な経営基盤を持つ。
メリット・デメリット
- メリット:
- au経済圏との連携が強く、Pontaポイントを有効活用できる。
- 国内株式手数料無料化。
- 独自の注文方法や信用取引サービスが充実。
- 大手金融グループの安心感。
- 単元未満株「プチ株」に対応。
- デメリット:
- 米国株の取扱銘柄数が他社と比べて少ない。
- 投資情報やツールの種類は、SBI証券や楽天証券にやや劣る。
- auユーザー以外にとっては、ポイントメリットが限定的。
どのような投資家におすすめか
- auユーザー、Pontaポイントを貯めている投資家。
- 単元未満株で少額から始めたい初心者投資家。
- 豊富な注文方法を活用したい投資家。
- 国内株式を中心に取引する投資家。
5. 松井証券

松井証券は、創業100年を超える老舗の証券会社でありながら、ネット取引に早期から注力し、独自のサービスやツールに定評があります。特に、投資初心者向けのサポートが充実している点が特徴です。
手数料体系
- 国内株式:
- ボックスレート: 1日の約定代金合計が50万円までは手数料無料。
- 50万円超~100万円まで: 1,100円
- 以降、金額に応じて上昇。
- 手数料無料化: 2024年3月より、国内株式の現物取引および信用取引手数料が無料となりました(オンライン取引、松井証券 株アプリなど対象)。
- ボックスレート: 1日の約定代金合計が50万円までは手数料無料。
- 投資信託: 買付手数料無料のノーロード投信が多数。保有残高に応じてポイント付与なし。
- 米国株式:
- 約定代金に対する手数料: 0.495%(税込)、最低0ドル、上限22ドル。
- 為替手数料: 1米ドルあたり25銭。
- その他の商品: FX、CFD、先物・オプションなど、それぞれ競争力のある手数料設定。
取扱商品
- 国内株式: 現物取引、信用取引、IPO、PO。
- 外国株式: 米国株。
- 投資信託: 約1,000本(ノーロード投信多数)。
- 債券: 個人向け国債。
- FX: 松井証券FX。
- CFD: 指数CFD、商品CFDなど。
- 先物・オプション: 日経225先物、TOPIX先物、オプション取引など。
- NISA・iDeCo: 対応。
取引ツール・情報
- PCツール:
- ネットストック・ハイスピード: 高機能トレーディングツール。リアルタイム株価、板情報、チャート、ニュース、注文機能など。
- テーマ株ラボ: 独自のテーマ株情報を分析。
- スマホアプリ:
- 松井証券 株アプリ: 国内株、米国株、投信などに対応。
- 松井証券 FXアプリ: FX専用アプリ。
- 投資情報:
- 動画で学ぶ投資レッスン: 投資初心者向けの動画コンテンツが充実。
- 投資の森: 投資に関するコラムや解説記事。
- マーケットラボ: 専門家による市場分析。
ポイントプログラム
松井証券独自のポイントプログラムは現在のところありません。
NISA・iDeCo
- NISA:
- つみたてNISA: 対象銘柄数が豊富。
- 一般NISA: 国内株式、外国株式、投資信託など幅広い商品に対応。
- 新NISA: 成長投資枠、つみたて投資枠ともに対応。
- iDeCo: 運用管理手数料が無料。
顧客サポート
- サポート体制の充実: 「株の取引相談窓口」や「FXサポート」など、専門スタッフによる手厚いサポート。
- チャットボット: 24時間対応。
- 電話相談: フリーダイヤルで平日8:30~17:00まで対応。
- お客様サポート: 投資相談やツールの使い方など、丁寧なサポートに定評がある。
その他ユニークなサービス
- ボックスレート: 1日の約定代金合計が50万円まで手数料無料という独自の料金体系(現在では手数料無料化済み)。
- 株式投資情報サイト: 投資初心者向けのコンテンツが非常に充実。
- 投信工房: ロボアドバイザーによる資産運用アドバイス。
- MATSUI Bank: 独自の銀行連携サービス。
口座開設数・信頼性
- 口座開設数: 約140万口座。
- 信頼性: 老舗の証券会社としての歴史と実績があり、信頼性が高い。
メリット・デメリット
- メリット:
- 国内株式手数料無料化。
- 投資初心者向けのサポートが非常に手厚い。
- 独自の取引ツールや情報コンテンツ。
- 老舗ならではの安心感と信頼性。
- デメリット:
- 取扱商品数が他社に比べてやや少ない。
- ポイントプログラムがない。
- 外国株式の取扱国が米国株のみ。
どのような投資家におすすめか
- 投資初心者で、手厚いサポートを受けたい投資家。
- 国内株式を中心に取引する投資家。
- 情報収集は自分で行い、シンプルなサービスを好む投資家。
- 手数料を気にせず少額から取引を始めたい投資家。

総合比較表
項目 | SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | auカブコム証券 | 松井証券 |
国内株式手数料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
米国株手数料 | 0.495%(上限$22) | 0.495%(上限$22) | 0.495%(上限$22) | 0.495%(上限$22) | 0.495%(上限$22) |
取扱外国株 | 米国、中国、韓国、ベトナム、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア | 米国、中国、アセアン | 米国、中国 | 米国 | 米国 |
投資信託 | 2,600本以上(ノーロード多数) | 2,600本以上(ノーロード多数) | 1,600本以上(ノーロード多数) | 1,500本以上(ノーロード多数) | 約1,000本(ノーロード多数) |
FX・CFD | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
NISA・iDeCo | 〇(商品数豊富) | 〇(楽天カード積立でポイント) | 〇(マネックスカード積立で高ポイント) | 〇(au PAYカード積立でポイント) | 〇 |
主要PCツール | HYPER SBI 2 | MARKETSPEED II | マネックストレーダー | kabuステーション | ネットストック・ハイスピード |
主要スマホアプリ | SBI証券株アプリ、米国株アプリ | iSPEED | マネックス証券アプリ | auカブコム証券アプリ | 松井証券 株アプリ |
ポイント連携 | T, Ponta, d, Vポイント(投信保有・クレカ積立) | 楽天ポイント(投信保有・クレカ積立、取引) | マネックスポイント(投信保有・クレカ積立) | Pontaポイント(投信保有・クレカ積立) | なし |
銀行連携 | 住信SBIネット銀行(外貨両替優遇) | 楽天銀行(マネーブリッジで金利優遇) | 住信SBIネット銀行(外貨両替優遇) | auじぶん銀行(外貨両替優遇) | MATSUI Bank |
特徴的なサービス | IPO取扱数、住信SBIネット銀行連携、多様な商品 | 楽天ポイント連携、日経テレコン無料 | 銘柄スカウター、米国株、マネックスカード高還元 | au経済圏連携、独自の注文方法、プチ株 | 手厚いサポート、50万円以下手数料無料(旧) |
おすすめの投資家 | 全般、多種多様な投資家、米国株も | 楽天経済圏利用者、ポイ活投資家 | 米国株投資家、企業分析重視家 | auユーザー、Pontaポイント利用者、単元未満株 | 投資初心者、サポート重視 |
Google スプレッドシートにエクスポート
まとめと各社を選ぶポイント
日本の主要ネット証券5社は、それぞれ異なる強みと特徴を持っています。共通しているのは、国内株式の手数料無料化が進行しており、投資家にとっては取引コストの面で非常に有利な環境が整っている点です。
- SBI証券:
- こんな人におすすめ: 多様な商品を一つの口座で管理したい、米国株も含めて幅広い投資をしたい、IPO投資にも積極的に参加したい、大手としての安心感を重視したい投資家。まさに「迷ったらSBI証券」と言える、バランスの取れた総合力No.1の証券会社です。
- 楽天証券:
- こんな人におすすめ: 楽天ポイントを貯めている、または楽天経済圏のサービスを頻繁に利用している投資家。ポイント投資や楽天カードでの投信積立など、楽天ポイントを最大限に活用したい場合に最適です。日経テレコンの無料利用も大きな魅力。
- マネックス証券:
- こんな人におすすめ: 米国株投資をメインに考えている投資家。「銘柄スカウター」を使った企業分析に力を入れたい投資家。投資情報の質を重視する方。マネックスカードでの投信積立による高還元率も魅力です。
- auカブコム証券:
- こんな人におすすめ: auユーザーやPontaポイントを貯めている投資家。auじぶん銀行との連携で為替手数料が安くなる点も魅力です。また、豊富な注文方法や独自の信用取引サービスを活用したい投資家にも適しています。
- 松井証券:
- こんな人におすすめ: 投資初心者で、手厚いサポートや分かりやすい情報提供を求める投資家。老舗ならではの信頼感があり、安心して取引を始めたい方に向いています。手数料が無料化されたことで、少額取引のメリットがさらに高まりました。
最終的な選択のヒント
- あなたの投資目的を明確にする: 国内株式メインか、外国株式も視野に入れるか、投資信託で積立をするか、など。
- 手数料体系を確認する: 自分が取引する頻度や金額に合わせて、最も有利な手数料コースを選ぶ。
- 取扱商品を確認する: 投資したい商品がその証券会社で扱われているか。
- 取引ツール・情報の充実度: 自分が使いやすいツールか、必要な情報が提供されているか。
- ポイントプログラム・銀行連携: 普段利用しているサービスとの連携でメリットがあるか。
- サポート体制: 困ったときにサポートを受けられるか、相談しやすいか。
複数の証券会社に口座を開設し、それぞれの良いところを使い分ける「複数口座開設」も有効な戦略です。例えば、国内株式は手数料が無料のSBI証券や楽天証券、米国株はマネックス証券、少額の単元未満株はauカブコム証券など、目的によって使い分けることで、より効率的でコストパフォーマンスの高い投資が実現できます。
最終的には、ご自身の投資スタイルやニーズに最も合致する証券会社を選ぶことが、成功への第一歩となるでしょう。ぜひ本稿の比較情報を参考に、最適なパートナーを見つけてください。