夢のマイホームを手に入れた皆さん、おめでとうございます!そして、そろそろ確定申告の時期が近づいてきて「住宅ローン控除って何?」「どうやればいいの?」と頭を悩ませていませんか?
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、マイホーム購入者にとって非常に大きな減税メリットがある制度です。しかし、その内容や手続きは複雑で、「難しそう…」と感じている方も少なくないでしょう。
この記事では、令和6年(2024年)分の確定申告に対応した最新情報に基づき、住宅ローン控除の仕組みから必要書類、具体的な申告方法まで、4000字以上の大ボリュームで徹底的に解説します。この記事を読めば、あなたも住宅ローン控除をフル活用し、賢く税金を取り戻せるはずです!

確定申告でトクする!住宅ローン控除
1. そもそも住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは?
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを取得したり、一定の増改築を行ったりした場合に、年末時点での住宅ローン残高の一定割合を所得税から控除する制度です。控除しきれなかった場合は、住民税からも一部控除されます。
この制度の目的は、住宅取得を促進し、経済を活性化させることにあります。毎年一定額が戻ってくるため、家計の大きな助けとなります。
ポイント:最大で年間数十万円の税金が戻ってくる可能性も!
2. 住宅ローン控除の適用要件:あなたは対象?
住宅ローン控除を受けるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。ご自身のケースが当てはまるか、確認してみましょう。
2-1. 控除の対象となる人
- 住宅の引渡し日から6ヶ月以内に居住し、その年の12月31日まで引き続き居住していること。
- 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること(新築・買取再販住宅の場合。それ以外は3,000万円以下の場合もあり。詳細は後述)。
- 住宅ローン控除の適用を受ける年とその前後2年ずつの計5年間に、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除など、他の居住用財産に係る特例の適用を受けていないこと。
2-2. 控除の対象となる住宅
- 新築住宅・買取再販住宅の場合(令和4年以降入居):
- 床面積が50平方メートル以上であること。
- 床面積の2分の1以上が居住用であること。
- 合計所得金額が1,000万円以下の場合、床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅も対象となります。(令和6年(2024年)入居分まで。令和7年(2025年)以降は対象外となる可能性あり、要確認)
- 建築確認を受けた住宅であること。
- 耐震基準を満たしていること。
- 既存住宅(中古住宅)の場合:
- 床面積が50平方メートル以上であること。
- 床面積の2分の1以上が居住用であること。
- 新耐震基準に適合していること(昭和57年以降に建築された住宅は原則適合)。または、耐震基準適合証明書、既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)、既存住宅売買瑕疵保険契約に加入していること。
- 購入日から6ヶ月以内に居住し、その年の12月31日まで引き続き居住していること。
2-3. 控除の対象となる住宅ローン
- 返済期間が10年以上の住宅ローンであること。
- 住宅の取得費用を賄うためのローンであること。
- 親族や知人からの借入金は対象外。金融機関からの借入金が対象。
ポイント:細かな要件があるので、ご自身の状況と照らし合わせて確認が必須です。不安な場合は税務署や税理士に相談しましょう。
3. 住宅ローン控除の控除額と控除期間
住宅ローン控除の控除額と控除期間は、住宅の種類や入居時期によって異なります。
3-1. 控除の対象となる住宅ローン残高の上限額
住宅の種類 | 控除対象借入限度額(2024年・2025年入居) |
認定長期優良住宅 | 5,000万円 |
認定低炭素住宅 | 5,000万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 |
その他の住宅 | 3,000万円 |
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3-2. 控除率と控除期間
- 控除率: 住宅ローン残高の0.7%
- 控除期間:原則13年間
- ただし、中古住宅購入や増改築の場合は10年間となる場合があります。
計算例:
例えば、省エネ基準適合住宅を新築し、年末の住宅ローン残高が4,000万円だった場合、
- 4,000万円 × 0.7% = 28万円
年間最大で28万円の所得税が控除されます。
ポイント:住宅の省エネ性能が高いほど、控除対象となるローン残高の上限が上がります。これから住宅を取得する方は、省エネ性能も考慮に入れると良いでしょう。

4. 確定申告の準備:必要書類を揃えよう!
確定申告を行うためには、多くの書類が必要です。早めに準備を始めましょう。
4-1. 確定申告書Aまたは確定申告書B
- 給与所得者の場合は「確定申告書A」、事業所得がある場合は「確定申告書B」を使用します。国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
4-2. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住宅ローン控除額を計算するための書類です。国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
4-3. 住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書
- 金融機関から送付されてくる書類です。年末の住宅ローン残高が記載されています。通常、10月~11月頃に郵送されます。
4-4. 土地・建物の登記事項証明書
- 法務局で取得します。土地と建物、それぞれ必要です。
4-5. 土地・建物の売買契約書(請負契約書)の写し
- 購入または建築した際の契約書です。コピーでOKです。
4-6. 源泉徴収票(給与所得者の場合)
- 勤務先から発行されます。
4-7. 住民票の写し
- 市区町村役場で取得します。
4-8. 建築基準法による検査済証の写し(新築の場合)
- 新築住宅の場合に必要です。
4-9. 耐震基準適合証明書、既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)、既存住宅売買瑕疵保険契約に加入していることを証する書類(中古住宅の場合)
- 上記「2-2. 控除の対象となる住宅」の要件を満たすために必要です。
4-10. 認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅であることを証明する書類(該当する場合)
- これらの住宅を取得した場合に、控除上限額がアップするため必要です。
- 認定長期優良住宅: 認定長期優良住宅建築等計画に係る認定通知書
- 認定低炭素住宅: 低炭素建築物新築等計画に係る認定通知書
- ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅: 建築士等による証明書、または登録住宅性能評価機関による建設住宅性能評価書(断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上、または断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上)など。
ポイント:これらの書類は初回申告時に全て必要です。2年目以降は「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」があればOKです。
5. いよいよ確定申告!申告方法のステップバイステップ
必要書類が揃ったら、いよいよ確定申告です。
5-1. e-Taxでの申告がおすすめ!
国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用すれば、画面の指示に従って入力するだけで簡単に確定申告書を作成できます。e-Taxで送信すれば、税務署に行く必要もなく、添付書類の一部を省略できるメリットもあります。
e-Taxでの申告手順(大まかな流れ):
- 国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセス
- 作成開始:「所得税」を選択し、指示に従って進む。
- 所得・控除の入力:
- 源泉徴収票を見ながら、給与所得の情報を入力します。
- 「住宅借入金等特別控除」の項目で、「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を見ながら必要事項を入力します。
- 年末調整で申告済みの社会保険料控除や生命保険料控除などの情報も確認し、必要であれば入力します。
- 計算結果の確認:還付される金額や納める税額が表示されます。
- 送信:マイナンバーカードとICカードリーダー、またはID・パスワード方式で送信します。
- 添付書類の提出:e-Taxで送信後、添付書類台紙に必要書類を貼り付け、郵送または税務署に持参します。初年度のみ必要です。2年目以降は、税務署から送られてくる「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」と金融機関の残高証明書を勤務先に提出すれば、年末調整で控除を受けられます。
5-2. 書面での申告
e-Taxに不慣れな方や、書面で提出したい場合は、確定申告書に手書きで記入し、税務署に提出または郵送します。
書面での申告手順(大まかな流れ):
- 確定申告書と関連書類の準備:国税庁のウェブサイトからダウンロードし、印刷するか、税務署で取得します。
- 必要事項の記入:
- 確定申告書に氏名、住所、マイナンバーなどの基本情報を記入します。
- 源泉徴収票を見ながら、給与所得の情報を記入します。
- 「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を作成し、そこから算出された控除額を確定申告書に転記します。
- その他の控除(社会保険料控除、生命保険料控除など)も記入します。
- 添付書類の準備:全ての必要書類を揃え、添付書類台紙などに貼り付けます。
- 提出:管轄の税務署に直接提出するか、郵送します。
ポイント:初めての確定申告は、国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」が非常に分かりやすく、おすすめです。不明な点があれば、税務署の相談窓口やチャットボットも活用しましょう。
6. 2年目以降の住宅ローン控除の手続き
「来年も確定申告しないといけないの?」と心配になるかもしれませんが、ご安心ください。住宅ローン控除は、初年度の確定申告を済ませれば、2年目以降は原則として年末調整で手続きが完結します。
2年目以降の手続き:
- 「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」の受領:
- 税務署から、確定申告を行った年の10月頃に、残りの控除期間分の「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」がまとめて郵送されてきます。大切に保管しましょう。
- 金融機関からの残高証明書の受領:
- 毎年10月~11月頃に、住宅ローンを借り入れている金融機関から「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」が郵送されてきます。
- 勤務先への提出:
- 上記2つの書類を、年末調整の時期に勤務先に提出します。
- これにより、年末調整で住宅ローン控除が適用され、所得税が還付されます。
ポイント:もしこれらの書類を紛失してしまった場合は、税務署や金融機関に再発行を依頼しましょう。
7. 住宅ローン控除の注意点とよくある疑問
7-1. 繰り上げ返済をしたら控除額はどうなる?
繰り上げ返済をすると、住宅ローン残高が減るため、その年の控除額は減少します。ただし、返済期間が10年未満になってしまうような大幅な繰り上げ返済をすると、控除の適用対象外となる可能性があります。繰り上げ返済を検討している場合は、事前に金融機関や税務署に相談することをおすすめします。
7-2. 夫婦で住宅ローン控除を受けることはできる?
夫婦それぞれが住宅ローンを借り入れ、それぞれが住宅の持ち分を持っている場合は、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けることができます。この場合、それぞれの持ち分割合に応じて控除額が計算されます。ただし、所得金額などの要件は夫婦それぞれで満たす必要があります。
7-3. 住民税からの控除について
所得税から控除しきれなかった住宅ローン控除額は、翌年度の住民税から控除されます。住民税からの控除額には上限がありますが、所得税で控除しきれない場合でも住民税から減税されるため、実質的なメリットは大きいです。
7-4. 確定申告を忘れてしまったら?
確定申告は、その年の翌年の3月15日までに行うのが原則です。もし申告期限を過ぎてしまっても、5年間は「更正の請求」という手続きで還付申告を行うことが可能です。諦めずに、税務署に相談してみましょう。
7-5. 住宅ローン控除以外の減税制度は?
住宅取得には、住宅ローン控除以外にも様々な優遇制度があります。
- すまい給付金(※令和3年12月31日で終了):住宅ローン控除の恩恵が十分に受けられない低所得者層向けの制度でしたが、現在は終了しています。
- 贈与税の非課税特例:親や祖父母などから住宅取得のための資金を贈与された場合、一定額まで贈与税が非課税になる制度です。
- 登録免許税・不動産取得税の軽減:不動産を登記する際にかかる登録免許税や、不動産を取得した際にかかる不動産取得税も、一定の要件を満たせば軽減される場合があります。
これらの制度は住宅ローン控除とは別個に適用されるものが多いので、ご自身の状況に合わせて活用できるか確認してみましょう。

8. まとめ:住宅ローン控除を最大限に活用しよう!
住宅ローン控除は、マイホーム購入者にとって非常にメリットの大きい制度です。初年度の確定申告は少々手間がかかりますが、一度手続きをしてしまえば、毎年大きな節税効果を実感できるでしょう。
この記事で解説した内容を参考に、ご自身の状況を正確に把握し、必要な書類を漏れなく揃えて、賢く確定申告を行いましょう。もし不明な点があれば、国税庁のホームページや税務署の相談窓口を積極的に活用してください。
あなたのマイホームライフが、住宅ローン控除によってさらに豊かなものになることを願っています!